1980年代の名作漫画(アニメ)『めぞん一刻』(高橋留美子氏原作)のまとめサイトです。

深読み!『めぞん一刻』

『めぞん一刻』の止められた時間

第15話「複雑夜・・・」で七尾こずえが登場したことで、『めぞん一刻』のシチュエーション・コメディの舞台が整いました。そのシチュエーションについてまとめてみたいと思います。

シチュエーション・コメディの舞台が完成

『めぞん一刻』の「一刻」は短い時間のことです。

7の数字が入った七尾こずえが登場したことで、前半の主要人物は揃いました。

響子が惣一郎を忘れられないので、五代も三鷹も動きが取れず、五代とこずえちゃんの関係も進退きわまってしまいます。
響子と惣一郎を起点としたツリー構造です。その中のメンバーを好きになったりして、ツリーに加わった人たちは一刻館の時計のように一緒に時間を止められてしまいます

以下の番組の17:50くらいに図が出てきますが、こういうツリーです。

片思いのツリー

八神と九条明日菜は、後半物語が動きはじめたころに登場するので、七尾こずえまでが時間を止められた被害者(?)ですね。

音無響子と惣一郎

響子は惣一郎に操を立てようとしますが、もう惣一郎がこの世にいなくて、どうしようもないことは理屈では理解しています。でも響子は惣一郎を忘れてしまうと、惣一郎の存在が消えてしまうのではないか、と恐れています。

響子、惣一郎さんはまだ死んでません

一方、内心恋愛はしたいし将来の不安もあるから五代や三鷹をふることもできず、でも次のステップに踏み出すまでには長い時間がかかってしまい、みたいな所でしょうか。物語が進むにつれ微妙に変化していきます。

五代と三鷹(響子の想像)

音無響子は「悪い女」と言えばいえば結果的にそうかも知れないし、惣一郎を言い訳にしてぬるま湯に浸かっているようにも見えます。でも、このシチュエーションは、響子も自分自身を追いつめていて相当しんどいですよね。

響子とこずえちゃん
こずえちゃんと違って本心がいえない。(第23話 「帰らざる彼」)

亡き惣一郎は成仏してないと考えていますが、『うる星やつら』の霊魂と違って、完全に見えない存在です。せいぜい五代に顔を見せないようにするとか、響子の夢に出てくるとか、響子に近づく五代や三鷹を追い払おうとする位しか出来ません。もちろん追い払った所で、惣一郎が響子に対して出来ることは何もないのですが・・・

惣一郎の影

惣一郎は、感情はあっても肉体は無いということで、ミステリアスだけれど無力な存在な存在なんですよね。惣一郎に相当な未練があるだろうことは想像つきますけど、響子自身が心の整理をつけて次のステップを歩み始めたら、それを止める力はありません。

結局、どうするかは響子自身にかかっているってことですね。

三鷹、五代とこずえちゃん

五代も三鷹も「惣一郎が忘れられないから」という理由では引きさがりません。いずれは惣一郎のことは心の整理がつくだろうと待っています。五代と三鷹はライバル関係だから、響子自身の心の整理がついた瞬間、自分が先に付き合ってしまおうと抜け駆けでも何でも辞さない構えです。

こずえちゃんは凄く天然な性格で一方的に五代にアプローチして両思いだと思い込んでいます。人の話を聞けない性格なので、五代が何を言おうと自分の都合の良いように考えてしまい、自分の認識は絶対変わりません。天然キャラとはいえ、ここまでの女性は現実には居なさそうですけど。

五代とこずえちゃん

結果として、三鷹やこずえちゃんは何年も時間を止められてしまった訳なので、結構な被害者ですね。ただ『めぞん一刻』では、そういう登場人物のアフターフォローも万全で、三鷹の相手の九条明日菜は三鷹にもったいない位の女性だし、こずえちゃんはちゃんと就職した高校時代の先輩とゴールインということで最後は全員ハッピーエンドで終わっています。

自分自身に忠実な登場人物たち

結局は音無響子も他の登場人物も、自分の考えを貫いているだけなのですが、その結果としてニッチもサッチも行かなくなってしまうという。

そのまま数年の長い時間、この羽交じめされたシチュエーションを舞台にして、エピソードが展開されていきます。

コメディだから、といっても息苦しさが無いのが不思議な位なのですが、少し掘ってみると作者の世界観というか、なんだか文学的な骨組みが埋まってますね。これも『めぞん一刻』の独特なテンションの高さにつながっているのかも知れません。

井戸の中
響子が落ちた枯れ井戸に全員落ちてきて身動きがとれなくなってしまう。(第62話「井戸の中」
「めぞん一刻」アニメ版
VOD:ビデオオンデマンド Amazonプライム(一話110円)

■更新日:2019/11/04

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