1980年代の名作漫画(アニメ)『めぞん一刻』(高橋留美子氏原作)のまとめサイトです。

深読み!『めぞん一刻』

めぞん一刻と日本神話

高橋留美子作品の場合、文学部史学科の出身で詳しいこともあってか、日本文学とか日本神話などがよく出てきます。

『うる星やつら』のキャラの多くは日本神話や伝承からインピレーションを得てします。

『めぞん一刻』はもっとリアルな世界観なので、直接日本神話が出てくるのは第一話だけ。でも、表に見せないだけで浅い所に埋まっていると思います。

今回は、そこを少し深読みしたいと思います。

『うる星やつら』と日本神話

『めぞん一刻』よりも早い時期から連載され、同時並行で連載されていた『うる星やつら』はキャラクター自体が日本文化から出てきています。

ラムちゃんも「鬼」ですよね。電撃でヤキモチを焼きます。雷神は古事記に既に出てきます。

うる星やつらと日本神話

お雪ちゃんは、美女ですけど「雪女」ですよね。

うる星やつらと日本神話

あとは、古事記に出てくるおっちょこちょいな「因幡(いなば)の白ウサギ」は、終盤に出てくる因幡くんのネタ元ですね。

うる星やつらと日本神話

古事記の天岩戸神話のパロディもあります。アニメでは最終回に出てきて、天照大御神(あまてらすおおみかみ)とかウズメが登場し、しかも若い美女です。よく考えると日本神話もギリシャ神話みたいに若い神様たちが主人公なんだよな、と思って感心しました。

テンちゃんが空を飛んでいると、出雲へ向かう天照大御神に出会います。伊勢神宮から出雲に向かっているのに、なんで友引町上空にいるのか知りませんけれど、笑

うる星やつらと日本神話
テンちゃんが出雲へ向かう天照大神と出会う
うる星やつらと日本神話
本物のうずめが降臨してしまう

お能ではお婆さん風ですけど、そんな訳はないですね。 近代の日本のアニメーションで日本神話をやると凄く魅力的だなと感じます。 文学として読めば、古事記って感情描写も豊かですからね。最近、古事記の漫画版も出ていて分かりやすいですけど『うる星やつら』のキャラクターの凄さとは比べられません。

日本神話って本当に豊かな世界です。それでこれだけのキャラが出来るのですから、ギリシャ神話や北欧神話と同じくらい豊かな世界だと思います。いろんな国から集まってきた人々の神話が交じりあっているんでしょう。

『めぞん一刻』のほうは、第一話に天岩戸神話のパロディがある他は明確なパロディはないみたいです。 他にも日本神話は沢山ありますけど、私は古事記くらいしか読んだことがないので、そのうち色々と読んでみたいと思います。

古事記には、もうひとつ、心情描写が素晴らしい神話がありますが、次はそれについて勝手に考えてみたいと思います。

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『めぞん一刻』といざなみ神話

日本を生んだ神様「いざなぎ」(男神)「いざなみ」(女神)の神話は、古事記の中ですごく重要で面白い神話なのに、『うる星やつら』に出てこないんです。お気に召さなかったのでしょうか?

なんといっても、これは日本最初のラブストーリーなんですから。

いざなぎいざなみは、初めての男女神で、日本列島を生んだ神様です。でも内容を読むと、そんなに崇高な話ではなくて普通の男女関係が書いてある気がします。

国産み

国産みの時、最初はいざなみ(女性)のほうから誘ってしまい、その結果蛭子が生まれてしまいます。神様にお伺いを立てると、いざなぎ(男性)のほうから誘い直せ、というご神託があって、やり直してから生まれたのが日本列島です。

ふむ、言ってみれば2回のベッドシーン。2回目は一応五代から誘ったといえますし。何かシンメトリーを感じるような。

その後、いざなみは火山を生む時の傷が元で亡くなってしまいます。そして、いざなぎは黄泉の国にいざなみを連れ戻しに行きます。

この話は、西洋のオルフェウスとエウリディーチェの話に非常に近いです。どちらも約束を破って地獄で妻を見てしまい、結局連れて帰るのに失敗するので大枠は一緒で、きっと伝承の祖先を辿ると共通なのではないでしょうか。

でも、ほぼセリフがないエウリディーチェに対して、いざなみは覗いてしまったいざなぎに激怒して地獄の1500の軍隊(ここに8体の雷神も入っている)を引き連れて、いざなぎを追ってくるんです。このシーンは結構リアルに描かれていて、びっくりです。

黄泉平坂

最後に黄泉の国から逃げてきて、岩で入り口をふさいだいざなぎと、岩を挟んで黄泉の国にいるいざなみは、最後の言葉を交わします。

いざなみ
いとしい夫よ。
あなたがこんなことをするのなら、あなたの国の人を一日1000人、殺しましょう。
いざなぎ
いとしい妻よ。
あなたが千人殺すなら、私は、一日に1500の産屋を建てよう。

これが現世と黄泉の国に引き裂かれた二人の最後の会話です。

神様に注意されたのにいざなみが先に声をかけてしまいます。これだけ激怒して追ってきたいざなみですが、最後の言葉が「いとしい夫よ」ではじまるところは女の性(さが)が描かれているし、やっぱりこの神話の後半は悲劇のラブストーリーを描いているんだなと思います。

それにしても日本神話の女性ってえらく積極的ですね。いまとあんまり変わってないような、笑。そしていざなみって、なんとなく性格的に誰かに似てるんじゃないかなと。単に良くいる女性像を描いているのかも知れないですけれど。

音無響子の激怒シーン
音無響子が一番激怒したシーン(第25話「響子と惣一郎」)

いざなみは黄泉の国に閉ざされ、いざなぎは現世を生きて、天照大神やスサノオといった神々を生み出していきます。

それって、音無惣一郎があの世に行ってしまい、音無響子が現世を生きていく『めぞん一刻』の逆のパターンですね。

「めぞん一刻」アニメ版
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■更新日:2019/10/21

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