1980年代の名作漫画(アニメ)『めぞん一刻』(高橋留美子氏原作)のまとめサイトです。

深読み!『めぞん一刻』

音無響子

旧姓は千草響子、通称「管理人さん」、『めぞん一刻』のヒロインです。ビジュアルは気合いが入っていて完璧といっていいですね。

主人公の五代より音無響子のほうがずっと人物描写が深いです。嫉妬深かったり、怒りっぽかったり、ストレートに自分を表現できない「面倒くさい(めんどくさい)女」です。五代や三鷹のどちらにも答えず三角関係を続ける「ズルい女」でもあって、音無響子は嫌い、という人も多いようですね。終盤は持ち前の魔性を存分に発揮します。

音無響子のプロフィール

年齢は22歳(第21話時点)。五代の2つ年上です。五代とゴールインする頃には20歳後半です。

音無響子は「音がないのに響く」のだから、矛盾した屈折したキャラ設定であることが分かります。未亡人ですが、亡き夫である音無惣一郎に操を立てて、ずっと音無家から籍を抜きません。でも現実には五代や三鷹が現れアプローチをかけると、やっぱりこころが揺れ動きます。

しかも、結婚したから矛盾した名前になったんです。そして響子が音無の姓を名乗っている限りは、名前も矛盾したままです。

音無という性には「無」という字が入っています。この字面も気になりますね。
音無⇒おとなし⇒夫なしになってしまい、なんか凄いストレートなネーミングなのかも?

『めぞん一刻』の主な登場人物には、苗字に数字が入っていますが、無⇒0号室⇒管理人室という風にいう人もします。草野球の回で、響子の背番号が0なので、きっと正しいんでしょう。

旧性の千草は1000なので全く逆に大きな数字ですね。

音無響子の背番号
草野球では背番号0 (TV版アニメも原作も同様)
(第54話「草野球スタンドクロス」)

音無響子のモデル

音無響子のモデルは女優の夏目雅子さんです。一刻館の管理人をやっている姿など、見た目のモデルはたしかに夏目雅子さんですね。

ただ、本編を読んでいくと音無響子の心理描写は、高橋留美子先生ご自身のような気がします。だって、音無響子と同年代の女性なんですから。共感は湧くはずだし、そうでなければこんなリアルな描写はできないと思いますよ。

音無響子は、男性の漫画家には書けないリアルな女性像なんですね。

磨き抜かれたビジュアル

音無響子のビジュアルはとても洗練されています。高橋留美子先生の書いた女性キャラの中でもダントツの美人度ナンバーワンです。

音無響子って、よく考えれば年上の未亡人なので条件が良いわけではありません。結婚している訳だから処女ではないし、結婚したら「再婚」です。少なくとも、条件の良い男性のステレオタイプといえる三鷹が、一目惚れする位の理想的なビジュアルじゃないと物語が成り立ちませんよね。

でも、作者の凄いテクニックというべきか「処女よりも聖女」と言われるくらいの清純さを確立しています。そのミステリアスな魅力は強力すぎて、もう「女神」といえるレベルですね。

第1話ではまだ劇画調で、ずいぶん雰囲気が違いますね。コミックの第1巻、第2巻あたりで急速に音無響子像が確立していきます。その後、物語が進んでいくほど、さらにビジュアルに磨きがかかってきて、男性好みに理想化された女性になっていきます。終盤は20代後半なのに、初期のころよりもずっと美女になっています。だんだん若返っているみたい。

ファッションにもかなりこだわっていて、色々なファッションの音無響子が楽しめます。そして喪服を着ている時が際立って美女に描かれてします。

音無響子

すごい気合いの入った作画ですが、10巻セットの第7巻ごろになると、男性が好むような音無響子像が確立しています。この頃の音無響子が一番美女だと思いますね。桜の季節とはいえ、墓地に喪服という地味なシチュエーションで、よくここまで魅力的に描けるなと思います。

喪服という時点で亡き惣一郎がまだ響子の中にいることが分かります。以前はお墓参りの時には髪を結い上げていて、結婚していた頃のショートカットを意識しているかも知れません。このエピソード(第100回「桜迷路」)では、髪を下ろしてロングにしています。ロングでお墓参りするようになったのは、第77話「春の墓」からです。気持ちは切り替えつつあるとは言え、まだまだ亡き惣一郎の存在感は大きいんです。でも、そこが音無響子の魅力でもあるんです。

音無惣一郎のページや、音無響子の魅力を探求のページでも書きましたが、響子が亡き惣一郎を想う心が、清純でミステリアスな音無響子の強力な魅力を引き出してします。この矛盾した音無響子の魅力ってホントに凄いインスピレーションです。

さらに進んで最終巻までいくと、今度は「らんま1/2」を思い出させるような造形になっていきます。この雑巾がけのシーンが特徴的だと思うのですが、他のシーンでも少し子供っぽいかも、と思うときがあります。

音無響子

原作とアニメーション版があって、それぞれに魅力的ですが、原作のほうが洗練されていて、コミックを読んでいると印象的な絵が多くありますね。普段着であっても原作のほうは十分魅力的に描いてあります。

TV版アニメはカラーなのが有利です。ちょっと中盤から目が青くなるのは、わざとらしいような気もするし、ファッションも原作には敵わないです。ただ、とても魅力的に描いているエピソードもあり、そうなるとカラーで動きがあるアニメーションのほうが有利ですね。

音無響子のアニメ版 音無響子のアニメ版
TV版アニメ第60回「見ちゃった!響子と三鷹がいきなりB!?」付近では
端正な顔立ちで表情も魅力的です。

「音無」という由緒正しい姓

それにしても音無という響きはとてもかっこいいですね。由緒正しい苗字という雰囲気満点です。日本には昔から「音無」姓が実際にあって、熊野国造の流れを引く一族らしいです。音無川というのは全国にありますが、熊野にも音無川があります。

和歌山県田辺市本宮(ほんぐう)町本宮の熊野本宮大社付近を流れ、熊野川に合流する川。
この地一帯を音無の里と呼んだところからこの名がある。

コトバンクより

その付近に音無姓が一番多いようです。本当に由緒正しい苗字なんですね。

音無響子

音無響子は「処女よりも聖女」

既に結婚もしていて未亡人なのに、清純なイメージがつきまとう響子は、「処女よりも聖女」とよく言われます。

でも亡き夫の惣一郎は、体が弱かったので、実は体の関係はなかったんじゃない?と考える人もいるかも。確かに惣一郎が響子をベッドに誘うシーンとか、想像しにくいですもんね。

第59話「梅酒婆あ」では梅酒で酔った惣一郎(犬)にひざ枕してしていて、「まじめでストイックで、こんなにしつこくありませんでしたっ」と思いっきり言ってしまいます、笑。

梅酒と惣一郎(犬)

亡き惣一郎は響子の思い出が中心なので、かなり美化されていると思います。亡き惣一郎のほうも相当響子を愛していたんじゃないか、というヒントは少しですがあると思うんです。 それにしても、ここまで清純に見せてしまう作者の手腕って凄いですね。

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音無響子の多重人格

音無響子は、いくつものキャラを持っています。

普段は大人っぽくて「音無」の姓に合うような、とても気品がある雰囲気です。並みの男には手の届かない存在という雰囲気を醸し出しています。

それと同時に、強いコンプレックスを感じます。この性格って『めぞん一刻』の物語が関係していますね。コミカルに描かれていますけど、響子は、常に亡き惣一郎に対する感情と、現実の間(はざま)にいるんです

本心は五代や三鷹のアプローチに答えたくても、それは出来ないんです。このコンプレックスは、響子が「音無」の姓を名乗っている限りは避けられない運命なんですね。

すごい嫉妬深さ

嫉妬深くて、五代が他の女の子と仲良くしていると、物凄く嫉妬します。

最初の嫉妬シーンは、「メモリアル・クッキング」の中盤で、響子のめいの郁子ちゃん(中学一年生)に五代が家庭教師をしているときに「初恋の話」をしていたことに対してです。こずえちゃんが登場する前から嫉妬シーンがあるんですね。その後、どんどんエスカレートしていきます。

「複雑夜・・・」「桃色電話」「怒りのウィドウ」あたりが、わかり易い嫉妬シーンです。

音無響子

「落ちていくのも」から始まる一連のストーリーでは、響子の嫉妬が原因で喧嘩になった挙句、五代が2階から落ちて骨折します。お見舞いに行ったときに「もう絶対、ヤキモチ焼いたりしません」と言い切っていますが、これまた複雑な状況での話なので一筋縄じゃいかないんですよね。

酔うと人が変わる

大人なのでアルコールも飲みますが、ビール好きで泥酔するまで飲んでしまいます。「春遠からじ」「ショッキング・ジョッキ」などで思いっきり泥酔してますね。

音無響子

でも、これは響子の可愛いところだと思います。酔うとストレートな性格に変貌して、本来の素直な性格が垣間見えるので。

めんどくさい怒り方

常日頃から機嫌の悪いシーンが多い音無響子ですが、本気で怒ると凄く怖いんです。一番分かりやすいのは第25話「響子と惣一郎」のこのシーン…

音無響子

でも、響子の普段の怒り方はダイレクトに怒りをぶつける形でなく"無視"です。朝、五代が通ることを知っていて、箒(ほうき)で道を掃いているのですが、怒っているときは五代があいさつしても無視。とっても凄い面倒くさい(めんどくさい)怒り方です。しかも10日間とか、結構長い間、毎日無視されるという…

音無響子

それでも響子を裏切らない五代って凄いですね。
響子からすれば自分が怒っていることを気づいてほしいとか、自分のことを考えてほしいとか思っているわけだから、響子が怒っているのをアピールしているうちは、五代にとっては脈があるってことですけど。

テンパると性格が豹変(ひょうへん)「暴走癖」

これって単純に面白いんですけど、急に車の運転をすることになったシーン急に人形劇のヒロイン役を任されたシーンなど、テンパってくると暴走してしまいます。でも、男女関係なくこういうタイプって結構いますよね。それにしても面白いです。

音無響子

終盤の響子が一刻館から出ていってしまうエピソードは、物語全体のピークなので凄いテンションですけれど、ここまで言ってしまうのはやっぱり暴走癖ですね。

音無響子
一番音無響子らしくないセリフ...

音無響子の得意技「偶然目撃」

響子は、五代が他の女性と何かしようとするとかなりの割合で目撃してます。これはただ偶然であって裏に仕掛けはないみたいで、ある種の潔(いさぎよ)さすら感じます。

五代が、初めてラブホテルに入ろうとした瞬間、響子がホテルの前を通りかかります。これは相当びっくりですよね。

響子が偶然目撃
白石衿子とホテルに入ろうとすると…
(第55話「ちょっと休もうか」)

下着姿の八神と体育用具室で二人になったときも、偶然目撃!

響子が偶然目撃
五代は八神に体育用具室でアタックされますが、
響子は一部始終を目撃
(第89話「体育祭の指導と管理」)

仕舞には、こずえちゃんと五代の初キスのシーンを目撃してしまいます。付き合って4年以上、五代とこずえちゃんの1回しかないキスシーンまでも偶然目撃!

響子が偶然目撃
五代とこずえちゃんのキスシーンを目撃
(第144話「わかってください」)

五代は目撃されたことを知らないので、この後ですごく面倒くさい(めんどくさい)ことになっています、笑。

五代が北海道旅行したときは、さすがに目撃しませんでしたけど。

『めぞん一刻』は一刻館の中ではもちろん、一刻館の外でも隠し事が出来ないんです。それにしたって漫画だから、と考えても、響子の「偶然目撃」は凄いですね。もっとも音無響子なら何でも目撃しそうな気もしますけど、笑

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千草家でのわがままな響子

普段、上品にしているぶん、実家に帰ると地が出てしまうようです。これはよくある話かも。かなりデフォルメされていて面白いです。

音無響子
実家に帰るとわがままな娘に...

終盤は「魔性の女」

『めぞん一刻』のラブストーリーのほうは、最後の1/4くらいで急に展開していきます。

三鷹は既に結婚してしまい、惣一郎への思いは既に過去の思い出になりつつあります。
唯一残ったのは五代です。五代も落ちて行っていて、就職浪人中のちょうど人生のどん底の状態...普段よりも優柔不断さが際だち、響子にアプローチって余裕もなく、こずえちゃんからも見捨てられそうになる始末...

響子自身だって20代後半になってしまいました。追いつめられた響子は五代に対して自らアプローチしていきます。それも何年分の超ヘビーな荷物を背負ったまま...。上品で大人しい(音無しい?)イメージもどこへやら。色々あって響子自身も必死です。

でも、ずっと前から「五代は押せば落ちる」ってことを知っててやってるんですよね。

中盤の第67話「落ちていくのも」あたりでミステリアスな片鱗を見せています。既にこの段階で、響子は自分からアプローチすれば、五代が受け入れてくれるという前提で行動しているようですね。

音無響子
響子はいきなり五代にキスしようとします

終盤になって、初キスも響子が主導してます。この緊迫の名シーンですが、アニメ版が非常に良く出来ています。というか、なんでキスシーンがこんなにテンション高いんでしょうね。

音無響子
こずえちゃんとのキスを目撃した響子は、
響子のほうから五代にキスします

ラブホテルに入ったのだって響子が五代の服の裾をつかんで誘ったからでした。『めぞん一刻』の場合、響子の心の中はきちんと説明されているので、じっくり読めばわかります。ですが、このシーンの前で、響子から誘っても五代が断らないことを確認しているんですよね。やっぱり魔性の女かな。

音無響子
有名なラブホテルのシーン。
音無響子がやるとインパクトありますね。

今だったら女性主導なんていくらでもありそうですけど、1980年代の話だと大分違う気がします。響子みたいな一見清楚な女性がそれをやると、ちょっとびっくりしますよね。

それにしてもこの時の響子を受け止めた五代って、すごいメンタルだと思います。『めぞん一刻』を通して、五代は響子のようなコンプレックスの強い女性をきちんと受け止められるまでに成長したんですね。

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素直になった音無響子

『めぞん一刻』は、もともとホッとするシーンも多いのですが、すぐにテンションが高い状態に戻ってしまいます。でも一夜をすごして、五代の告白に答えた後は、響子は急に素直になりラブラブな雰囲気が多くなります。すぐにプロポーズして再婚なので短い期間ですけれど、読者としては随分それまでと雰囲気がガラリと変わって、また一味違った音無響子が楽しめます。

音無響子
ラブコメなのにこんなシーンは滅多に出てこない

なるほど響子と付き合うとこんな感じになるのかぁ。さすが音無響子。こずえちゃんよりずっといいじゃないですか。これは読んでいて嫉妬心もなくはないけれど、ホッとしたというのが圧倒的に大きいです。

この時の響子は姓はまだ「音無」ですが、もう亡き惣一郎に操を立てるという無謀なことはあきらめて、五代と深い関係になりました。だから、今までの多重人格ぶりは大分後退して、高校時代の響子のように、素直に自分を表現できるようになってきてるんですね。

「めぞん一刻」アニメ版
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■更新日:2020/02/11

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