1980年代の名作漫画(アニメ)『めぞん一刻』(高橋留美子氏原作)のまとめサイトです。

深読み!『めぞん一刻』

第110話「シルエット・ロマンス」第111話「夢一夜」

前回から引き続き、響子の金沢一人旅です。TV版アニメは能登半島に入ってとてもいい景色ですね。でもバスの中は団体客でいっぱい。響子は予定をかえてひなびた温泉に向かいます。

追ってきた五代は、既に何度も響子を目撃しているわけですが、きわどい所で再会することが出来ません。

題名の「シルエット・ロマンス」(作曲:来生たかお、作詞:来生えつこ)は当時1981年発売のヒットソングです。「夢一夜」は南こうせつのヒットソングですね。

ブルーレイ:枚目
TVシリーズ第62話「ヤッタ! 響子と混浴露天風呂で二人きり」

ストーリー(あらすじ)

タクシーが故障

前回、観光バスに間に合った五代ですが、結局落とし穴におちてしまって、またタクシーで響子の乗った観光バスを追うことになります。

しかし、タクシーは途中で壊れてしまい、運転手が修理しはじめます。そこへ、響子の乗った観光バスが!ダッシュで追いかけますが、当然追いつくのは無理でした。

タクシーが故障

響子、旅行予定を変更

一方、響子は一人静かに心の整理をしようと旅行に来たのに、まわりが団体客でうるさく、とてもそんな雰囲気ではありません。

バスの中

でも周りの団体客が話しているのを聞いて、このあたりに良い温泉が沢山あることを知ります。そして旅行予定を変更して温泉に向かうことにします。

五代は、観光バスの前で響子が帰ってくるのを待っていましたが、響子はきませんでした。前の停留所で降りて温泉にいったと運転手から聞きます。目的地まで運転手から聞くことができたので、そのままタクシーでその温泉に向かいます。

響子が少しでも「五代が追ってきてくれているかも?」と思っていたら、旅程変更なんてしなかったと思うのですが、どうなんでしょうね。運転手から変更先が聞けなかったら、ここでもう追えなくなってしまい、きわどい所でした。いまだったら、プライバシーがあるから運転手もそう簡単には教えてくれないでしょうしね。

温泉地を探す五代

ひなびた良い温泉街ですね。私は能登半島っていったことが無いのですが、行ってみたくなりました。天気が悪い日も多そうですけど。

響子、温泉に

五代はそんなことに構わず、響子を探し続けます。旅館を総当りして響子の泊まる宿を探します。金白館という宿を確認しますが、顧客名簿に響子はありませんでした。次の旅館へ走り 出したところ、ちょうど紹介されて金白館にやってきた響子が目撃しますが、またも幻だと思います。

響子がまたもや目撃
金白館

響子は旅程変更と宿泊先の連絡先を一刻館の一の瀬さんに伝えます。そこで、一刻館のみんなは五代も含め元気だよ、という話を聞きます。

響子がまたもや目撃

でも電話を切った後、一の瀬さんは「あれ、そーいやこの2,3日、五代くん見かけないね」と気づきます。なんていい加減な、笑

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金白館にて

宿泊先を探し回った五代ですが、結局響子の行き先はわからず、ほぼあきらめて自分の宿を探します。さっきの金白館に行って部屋に案内してもらうと、なんと響子の隣の部屋。でも、そんなことに気づきません。

響子の部屋の隣だった

響子は宿の人から、露天風呂にはいることを薦められます。男女も別れてるし、夜は人がいないから、と。

一方、五代は一足先に露天風呂にはいっていました。

五代、露天風呂にて
五代「明日は管理人さん東京に帰るんだよな」
五代「管理人さん、今頃どこにいるんだろう」

響子は部屋にいてあまりに退屈なので、やっぱり露天風呂に行ってみることにします。すると、入り口は男女別なのに中はほぼつながっているという…

響子、露天風呂にて

奥にいる五代に気づかず、「誰もいないから」と響子は露天風呂に入ります。そこで、この旅行でたびたび見かけた五代の幻について考えを巡らせます。特に五代のことを考えているわけではないのに、なんでだろう?と。

響子、露天風呂にて
響子「少しでも追っかけてきて欲しかったのかな」

そのうち五代はのぼせてしまい、露天風呂から出ようとします。湯けむりの中、響子の横を通った時に二人は他に入浴している人がいることに気づきます。

そして、湯けむりがさめると、

露天風呂にて再会

露天風呂で裸のまま思いっきり再会!うれしいような、はずかしいような絶妙なタイミングですね。

しかし、そのまま五代はのぼせて温泉に溺れてしまいます。響子が気づき、なかなか浮いてこないので、五代を抱きかかえて「誰か来てー!」

露天風呂で溺れる五代

響子の部屋にて

この先は原作とTV版アニメで大分違います。アニメ版は心情描写が複雑すぎると思ったのか、響子が一刻館へ帰ってから、一刻館の住人たちが、五代が追っていったことをはっきり言っています。

原作では、『めぞん一刻』でも一番を争うくらい絶妙なやりとりになっています。なので原作中心に書きたいと思います。

五代は温泉宿の人に運ばれて響子の部屋のふとんに寝かされます。

響子の部屋に運び込まれる五代
響子(心の中)「どうしてここにいるの?偶然」
響子(心の中)「あたしを追ってきてくれたの」

五代が「涙の訳を確かめなくちゃ」と考えて追ってきても、響子にはそれはわかりません。 誤解されたとはいえ、五代から「あきらめましたから」といわれた訳ですから。響子から見れば、フラれたようなものです。 響子から見れば、いま五代が追ってくる理由は無いはずです。 それに加えて、一人になってさみしさを感じている時に五代が追ってきてくれたのだから、意外だし得点高いですね。

五代は目を覚ますと、響子の部屋に寝ていたことを知ります。

響子と五代はお茶を飲みます。夢の中では「あなたを追ってきたんです!」と言っていた五代ですが、本人を目の前にすると何故かそれが言えません。

ここで『めぞん一刻』でも、一番『めぞん一刻』らしい微妙な会話が繰り広げられます。特に原作での会話は本当に絶妙ですね。

響子「ご旅行ですか」
五代「は、はあ、ちょっと思い立って…」

五代は金沢まではるばるやってきたのに、「追いかけてきた」といえません。

響子(心の中)「そうね、やっぱり偶然…」
響子(心の中)「少し残念」

どう考えたって「偶然」とは考えられないですが、これに限らず響子や響子の両親には、はっきり言葉で言わないと伝わらないんです。 そこは五代がはっきり言わないとダメなんですよね。また不合格です、笑

一緒に窓際にいながら、二人はあまり言葉を交さず、出会っただけでも奇跡なのに、今度は心の中ですれ違いが続きます。このあたりホントに巧妙ですね。

まだ五代は、三鷹と響子の関係を誤解したままだし、響子の涙の訳もわかりません。

窓際でのやりとり

でも、少しずつ会話が進んで、さすがの響子も偶然じゃないことに気づき始めます。

響子(心の中)「本当に偶然かしら。本当は追ってきてくれたんじゃないの?」
響子(心の中)「もしそうなら、あたし…」

五代が「涙の訳(響子が五代を好きかどうか)を聞きに来た」ということを、響子は知りません。だから「自分を好きだから追ってきた」のだと思うでしょうね。もちろん、それも間違いじゃないんですけど、そこはポイントかも。

もし五代が「涙の訳を知りたいんです」とはっきり聞いてしまったら、響子は答えられないような気がするし、もしかすると多少がっかりするかも知れませんからね。

これからの旅行の予定の話になります。

五代「そ、そうですね。明日は輪島にでも…」
響子「いいですねぇ。あたしも行きたいな。
五代(ドキッ)
響子(あっ)

そもそも響子は五代からフラレたようなものだし、五代が「追ってきた」ことを確認したわけではありません。

対して五代から見れば、三鷹と響子の関係が深いんなら、そんな話にならないはず。そもそも一人で旅行に来ている時点でおかしいですけどね。

五代「あの、良かったら一緒に、明日も」
響子「はい」

これでもとの鞘(さや)に収まりました。原作では、三鷹と関係も、涙の訳も聞くこと無く、元通りに。 響子から見ても「五代が自分を追ってきた」というもの、ちゃんと確認してはいないですね。

つまり、誤解をちゃんと解消しないまま解決してしまうという…さすがです。第43話「坂の途中」では言葉ではっきり誤解を解きましたが、このエピソードではその必要は無くなっています。第43話の時に比べて五代と響子の相互理解が深まってますね。もちろんマンガで絵が入っているのもありますけど、すごい心情表現ですね。

窓際でのやりとり

でもこの雰囲気だと、さらに深い関係になりそうな予感…

一刻館からの電話

ところが、ちょうどそのタイミングで一刻館から電話がかかってきます。水道管が壊れてしまったのです。響子は、一緒に行けなくなったと告げ、朝一番の列車で東京へ帰ってしまいます。

一刻館で水道管故障
一刻館で水道管故障

複雑な心情描写

響子の部屋でのやりとりは、本当に『めぞん一刻』らしい繊細さで、名シーンといわれています。

金沢までやってきたのに、優柔不断で言葉で何も伝えられなかった五代。鈍感だけれど、さすがに五代が追ってきてくれたことに気付いた響子。

ここで五代がはっきり「あなたを追ってきました」と言えたら、大分違ったでしょうに…

でも響子の「いいですねぇ。あたしも行きたいな。」の一言でほぼ誤解が解けてしまうんだから、凄いですよね。

しかし、一番いいところで電話がかかってきて、響子は急いで一刻館へ帰ってしまいます。

もとはと言えば、この旅行には亡き惣一郎が絡んでるわけだから、元の鞘(さや)に収まったら、それ以上深い関係にはしたくないんでしょうねぇ。

なんにせよ、金沢まで追いかけてきたのだから、響子にとっては強いインパクトですよね。響子は「五代が好きだ」ということを強く再認識しただろうし、「五代が自分を好きだ」ということも強く伝わったんじゃないでしょうか。

「めぞん一刻」アニメ版
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■更新日:2019/12/29

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