1980年代の名作漫画(アニメ)『めぞん一刻』(高橋留美子氏原作)のまとめサイトです。

深読み!『めぞん一刻』

第77話「春の墓」(惣一郎の4周忌)

『めぞん一刻』の転機になるエピソードです。

惣一郎の4周忌。音無家と千草家で惣一郎のお墓参りをするエピソードです。音無響子は今年もまた再婚の話が出るのではないかと警戒していましたが、結局響子の両親は何も言わずにすんなり終わりました。少し拍子抜けする響子ですが、一の瀬さんに言われて惣一郎のことをあまり考えていなかったことに気づきます。確かに最近管理人の仕事、五代や三鷹のことで頭がいっぱいだった響子。心の整理をつけようと惣一郎の好物を持ってもう一度墓参りに向かいます。

TV版アニメでは、タイトルに思いっきり「再婚宣言」なんて入れてますが、さすがに先走り過ぎている感じですね。

ブルーレイ:3枚目
第52話 「許して惣一郎さん!響子涙の再婚宣言!!」

ストーリー(あらすじ)

惣一郎の4周忌

音無惣一郎の4周忌(惣一郎が亡くなって4年)ということで、例年通り音無家と千草家でお墓参りします。響子は、去年のように再婚話が出てくるんじゃないかと警戒します。

ところで、響子は今年は喪服を着ていますね。それまでは白っぽい服装だったと思いますが。TV版アニメでは茶色、原作では黒の喪服に見えます。

よく見たら第53話「子供のいる情景」が3周忌で、これはTV版アニメでは出てこないんですね。3周忌も黒い喪服だったので、2年連続だったようです。

>3周忌の様子
3周忌の様子(第53話「子供のいる情景」)

今年のお墓参りは結局何事もないまま、平穏無事に終わりました。警戒していただけに却って気が抜けてしまう響子。

4年目の心の整理

一刻館に帰ると心配していた五代が玄関先で待っていました。管理人室でも、ほっとした表情で一の瀬さんと話をする響子

一の瀬「で、なに話したの?」
響子「え、ですから再婚のことは全然...」
一の瀬「そうじゃなくてさ、惣一郎(旦那)にさ」
響子「......」

惣一郎の死から4年たって、あれほど惣一郎に操を立てていた響子も大分心境に変化が出てきていたのです。五代や三鷹のこと、一刻館の人々、管理人の仕事など、今生きている人や生活のほうのウェイトが高まっているということ。

今年は警戒していた再婚の話は出なかったのに、そんな年にかぎって響子は自分から気づいてしまったのでした。

響子「あたし、きっとしあわせなんだわ。」
響子「だけど、いいの?こんなことでいいの?こんな風に惣一郎さんを忘れていくなんて...」

惣一郎さんのところに...

響子は惣一郎の好物だった長い海苔巻きを作って、もう一度惣一郎のお墓参りに出発します。

ちょうど四谷さんが海苔巻きに気づいて、

四谷「ピクニックですか」
響子「いえ、ちょっと...惣一郎さんのところに。」

なるほど。漫画は絵があって別に暗い表情ではないので、大した話じゃないことが分かりますけど、文字でセリフを抜き出すと微妙なイメージになりますね。

響子と四谷さん

しかし、四谷さんは五代に「細長い包をもって、「惣一郎さんのところにいく」と言った」と伝えます。

細長い包は、短刀なのでは?そしたら、本当にあの世の惣一郎さんの所に行くということでは?ということで、五代は焦って響子を追っていきます。

この話は、やっぱり「ロミオとジュリエット」の「墓の前のジュリエット」のシーンのパロディみたいですね。ジュリエットがロミオの後を追って毒をあおって死んでしまうシーンです。フランス語版で、響子を「ジュリエット」という名前にした理由も分かる気がします。

もう一度、惣一郎のお墓へ

五代は響子を追い抜いて、先に惣一郎のお墓の前に着きました。しばらくするとレジャーシートじゃなく、御座を抱えた普段着の響子がやってきます。お墓の前では初めて髪を結わずにロングのままです。

御座を敷いて、線香をあげ、細長い包を開ける響子。五代は墓の後ろに隠れていましたが、短刀ではなく「かんぴょう巻き」でした、笑

響子は、何も言わずに惣一郎の墓の前で、惣一郎の死の場面を思い出します。買い物から帰ってきたとき、音無のじいさんから「とにかく病院へ!」と言われ、行ってみると既に惣一郎は亡くなっていました。最後の言葉を交わすことも出来なかった突然の死。これは相当ショッキングですね。

それにしても、このタイミングで惣一郎の死のシーンを入れてくるなんて、やっぱり「ロミオをジュリエット」ですねぇ。

響子は涙ぐみます。そのまま一言も言葉を発さないまま一時間以上もお墓の前にいる響子。でも、心の中ではこんな話をしていました。

響子(心の声)「ずっとあなたのことを思い続けていたかった、だけど生きている人たちが、だんだん私の中に入ってきている...」

五代はずっと墓の後ろに隠れています。すると、

響子「惣一郎さん、どうして死んじゃったの!生きてさえいてくれれば、こんな思いしなくてすんだわ」

響子が言葉で発したのは、そのセリフだけ。五代は響子がまだまだ惣一郎を忘れられないのだと受け取ります。でも、響子はさらに心の中で話を続けます。

響子(心の声)「いつかきっと、私はあなたを深い所に沈めてしまう。」
響子(心の声)「自然に忘れるときが来ても許してください。今の私の素直な気持ちです。」

名セリフを残して、お墓を後にする響子。五代は、響子に話しかけようと立ち上がりますが、もう響子はいませんでした。

結局「ロミオとジュリエット」とは真逆のエピソードでした。上手いなぁ。

またまたすれ違い

響子は、惣一郎に操を立てていた自分に整理をつけるために、お墓参りに来ました。いかにショッキングであったとしても、たしかに4年も経てば、そろそろ次のステップへ歩みはじめてもおかしくない時期ですね。大体3年くらいが一般的な気がしますが、響子の場合は4年でやっと心の整理がついて来たのでした。

第67話「落ちていくのも」から始まる一連のストーリーのあと、惣一郎が出てきたのは「湯治者たち」(当事者たち?)で五代が寝ている響子に手を出そうとしたときです。このときは響子は夢を見ながら五代を抱きしめてしまい「惣一郎さん」と寝言を言った瞬間、五代と響子は引き離される、ということで、いつものように惣一郎が響子を守った感じです。

また「闇の中の顔」では、音無家に泊まった時に惣一郎の写真を見ようとするも、今度は額縁が割れていて見られなかったということで、まだまだ惣一郎は五代に顔を見せたくないようです。これってちょっと怖い感じですけど、五代は普通にズッコケています。

そういう前フリもあった後でのこのエピソード。今を生きている響子は実は惣一郎よりも早く心の切り替えが出来つつあるんじゃないでしょうか。

今まで惣一郎への気持ちをなかなか理解してもらえなかった響子ですが、その気持ちの整理はついてきました。

ここから先は、逆に五代のほうが「響子は惣一郎を忘れていない」と悩み始めます。ここでまた新たなすれ違いが生まれてしまいました。そして、このすれ違いは『めぞん一刻』の終盤まで続くんです。

惣一郎については想像するしかない訳ですが、三鷹の件なども含めて、まだまだ手を出して来ます。『めぞん一刻』の止められた時間は少しずつ進み始めたとはいえ、物語はやっと半分まで来たところです。

惣一郎の死因はなに?

惣一郎の死因は、最後まで明かされませんけど、筆者もいままでのエピソードをもとに考えてみました。

とりあえず、体が弱かったようなので病死だとは思います。でも亡くなったのはまだ30歳くらいですよね。突然死してしまうには若すぎます。

突然死といえば心臓発作と脳血管系の病気ですが、過労だったとしても、その年齢では早いですよね。過労ってほど忙しいようには見えませんし。

そうするとやっぱり食べ物に関係ありそうな気がします。日記のエピソードを読むと、そんなに体に悪いものを食べていたわけでもありませんけど、遺伝とかで病気になりやすかった可能性もありますね。

そんなわけで「糖尿病」がベースで突然死してしまったのかも、と思いました。糖尿病の場合、合併症があったり、血管が弱っていろんな病気を併発するので、おかしくはないかなと…

「めぞん一刻」アニメ版
VOD:ビデオオンデマンド Amazonプライム(一話110円)

■更新日:2019/10/04

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