1980年代の名作漫画(アニメ)『めぞん一刻』(高橋留美子氏原作)のまとめサイトです。

深読み!『めぞん一刻』

第32話「怒りのウィドウ」

原作の「怒りのウィドウ」のウィドウは英語で「未亡人」のことです。

山口百恵の「ロックンロール・ウィドウ」(作詞:阿木燿子)をもじったタイトルという説もありますね。歌詞を見るとさすが阿木燿子氏。この歌詞は、一連の嫉妬関係エピソードにインスピレーションを与えたものかも知れません。『うる星やつら』じゃなくて、『めぞん一刻』の作詞をしてくれていたら面白かったのに、と思います。

あるいは「メリーウィドウ」(明るい未亡人)のパロディじゃないかとも思いますね。「明るい」と「怒り」でちょうど逆だし、響子は普段明るいイメージがあるじゃないですか。うーん、普段から怒っているイメージのほうも強いかな…?

内容はTV版のタイトル通り「響子のやきもち大爆発」ですが、最初のほうに名ゼリフも出てきますし、とても面白いエピソードです。

ブルーレイ:5枚目
TVシリーズ第26話「五代ボー然!響子のヤキモチ大爆発!!」
主な登場人物:音無響子,五代裕作,三鷹瞬,七尾こずえ,四谷さん,一の瀬夫人

音無響子の打算

響子は高校時代の友人とお茶をします。そこで、またもや再婚の話に....。一刻館への帰り道、再婚について友人にも言われたことで、少し焦りも出てきたのか色々考えます。

管理人室でも、ついそのことを考えてしまいます。

「相手が五代さんじゃ、4、5年先だわ。やっぱり、早めに約束して大学の卒業を待って...」
「そのころ私いくつになってんのかしら、子供は30前に生んだ方が...」
「三鷹さんだったら今すぐOKだな...」
「なに考えてんの。」

本命は五代みたいですけど条件しだいでは三鷹でも、みたいな「打算」です。『めぞん一刻』らしい名シーンです。確かに惣一郎が忘れられないから、といっても再婚できなかったら困りますからね。つい出てしまったホンネですね。

それと、これから起こることを考えれば、ちょっと浅はかな「のろけ話」にも見えます。

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七尾こずえ、一刻館へ

こずえちゃんが五代の部屋に遊びにくることになりました。その電話を一の瀬さんが聞いていて全部響子にばらしてしまいます。響子は既に五代に対して怒り心頭ですが、一の瀬さんが盗み聞きした話と聞いて、怒るに怒れなくなり一旦溜飲をさげます。

五代の部屋に入ったこずえちゃんですが、となりの四谷さんの部屋側の修理したばかりの壁からカリカリと音がしてきて、四谷さんがまた丸太で穴を明けて侵入してきます。

びっくりしたこずえちゃんは五代に抱きつきます

その話は、一刻館の情報ネットワークにのって、すぐ響子に伝えられます。

音無響子、三鷹とデート

響子が管理人室にいると、急に三鷹から電話がかかってきてデートすることになります。響子が三鷹と会う時に「デート」という言葉を使ったのはこれが始めて。前回、三鷹にプロポーズされて響子の意識が変わったのか、単なる五代とこずえちゃんへの当て付けか。

おしゃれをして出発すると、丁度五代とこずえちゃんが出て来て、暫くの間3人で歩きます。

こずえ「管理人さーん、どうしたんですか、今日すっごくきれい」
響子(五代に向かって)「これから三鷹さんとデートなんです。」
五代「今日は車でお出迎えじゃないんですね。」
響子「今、車検に出してるんですって。車とデートするわけじゃありませんから

天然だけど純粋なこずえちゃん。それに比べて響子は、五代の何気無い言葉に対してカチンと来てしまい思いっきりイヤミで返すという...笑

TV版アニメのこのシーンは、とても面白く描かれていて笑えます。

三鷹との待ち合わせ場所で

イヌの美容室の2Fにある喫茶店で待ち合わせだったんですが、三鷹はイヌに追われて服を汚され、そのまま犬だらけのイヌの美容室に連れて行かれて服の汚れをとってもらいます。
その時、三鷹を気に入った(?)大型犬が襲い掛かってきて、三鷹は恐怖のあまりイヌの美容院の女性に抱きついてしまいます。

ちょうど、そこにやってきた響子は、三鷹と店員の女性が抱き合っている姿を見てしまい、走り去ってしまいます。

パチンコでストレス発散するヒロイン

響子は五代にも三鷹にも裏切られ、このエピソードのはじめに感じた焦りが現実になって本当に一人になってしまいます。(誤解ですけどね。)

五代が「好きだ」と言ったり三鷹がプロポーズしているのに、響子は答えていないので二人とも失ったとしても不思議ではないですけど、それは棚に上げている模様…。『めぞん一刻』ではそういうパターンの話が何度かありますね。

響子はパチンコでストレス発散。ゲットした大量の缶詰を持って一刻館へ帰ります。

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帰りの時計坂にて、響子の「缶詰投げ」

パチンコの景品でゲットした大量の缶詰を持って、時計坂を登っていく響子。ちょうど七尾家でまた夕飯をご馳走になった五代が帰ってきて、響子のすぐ後ろにいました。

すると五代のところに缶詰が一つ転がってきます。
すぐ前に缶詰を沢山かかえた響子がいたので、その缶詰をわたしに行きますが、

響子「いりません、あなた食べてください」
五代「あの、もちましょうか」
響子「結構です。男の方の世話にはなりません。」
五代「三鷹さんとケンカでもしたんですか?」
響子「楽しいデートでした。」
五代「かわったデートですね...そんなにカンヅメをかかえて」

悪気はなかった五代ですが、我慢の限界を超えた響子は、五代に思いっきり缶詰を投げ付けて、スタスタ帰っていくのでした。

その頃三鷹は、まだ喫茶店で待っていて「なんでスッポカされたんだろう」と考えています。三鷹もずいぶん待っていたんですね。五代が七尾家で夕飯をご馳走になっていたことを考えると、今回は確かに三鷹のほうが身持ちが固いかも知れないですね。

パチンコするしかなかった響子

高嶺の花であるはずの「音無響子」がパチンコって意外性大きいですよね。なんでパチンコすることになったのでしょうか?

このエピソードでは、響子を好きなはずだった五代や三鷹が、他の女性と抱き合っています

五代や三鷹に裏切られた時、惣一郎に逃げ込むようなシーンが結構ありました。でも今回は響子は惣一郎に逃げ込むということはありませんでした。 なぜかといえば亡き惣一郎は、響子を他の男から遠ざけることは出来ても、もう響子と抱き合うことは出来ないからです。

『うる星やつら』で成仏していない「ことりちゃん」が、子犬を抱きにくるというエピソードがありました。しかし抱こうとしても手がすり抜けてしまって抱けません。

亡き惣一郎はことりちゃんと同じように、未練の感情(魂)はあっても、もう響子と触れ合うことはできません。

これって致命的で、響子がそこにヤキモチを焼いてしまったら、亡き惣一郎に逃げ込んでも癒やされることはないし、当て付けにもなりません。魂と肉体。同じヤキモチといっても、この違いがこのエピソードの大事なところ。

こういったエピソードを通して、いくら惣一郎に操を立てても癒やされない現実に、響子は真正面から対峙するしかない状況に追い込まれます。

「また一人取り残されてしまう」という、響子が一番見たくない現実をストレートに突きつけられた上、逃げ場所すらないという…

もうパチンコしながら八つ当たりするしかないですよね。
コメディの『めぞん一刻』だからパチンコなのであって、シリアスに書いたら相当しんどそうです。

アニメ版の出来が良い

このエピソードはアニメ版の出来がとても良いです。
響子が怒るシーンでは、五代の悪気のない言動が響子の機嫌をどんどん損ねていく様子がよく描かれていて、かなり面白いです。

缶詰投げ付けシーンでは、響子が怒り出すプロセスを原作よりも細かく描いていて、とてもリアリティがあります。野球のホームランシーンで隠されていますが、ちゃんと投げ付けてはいるし、その後、大量の缶詰が(数百個はあるんじゃないか?)転がってくるシーンも面白いです。

「めぞん一刻」アニメ版
VOD:ビデオオンデマンド Amazonプライム(一話110円)

■更新日:2019/11/29

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